専門職の現場、知識の価値を知る

専門職を志す者にとって、最も意識をしなくてはいけないことは「自分が持っている知識や技術には価値があり、それを容易にひけらかしてはいけない」という点だと思います。
専門職は、物を切り売りしているのではありません。
確かに医療業界には医師、看護師、薬剤師、介護士、栄養士など、様々な分野に専門の者がいて、表面的にはサービスであったり商品を切り売りしているように見えますがそうではありません。
専門職が切り売りしているのは、専門的な知識であり、技術です。
他には分からないことを知り、きちんと手順を踏み修行・または研修した人だけが習得できる技能があるからこそ、それが出来ない消費者からの需要が生まれ、仕事として成り立つと言えます。
昨今、これらの専門的な能力を持つ者を粗雑に扱う雇用主・消費者が増加しているのは、専門的要素の価値を、それを取り扱っている人が迫られて提供しなければならないようになってしまったり、善意で提供してしまうのが原因だと考えます。
勿論、人の生死に関わる場合や緊急事態は別です。
しかし、本来金銭の取引が発生する現場においてのみするべき仕事を、まったくの善意から無償にすることによって、他の専門家に二次被害が生じることは多々あります。
例えば、栄養管理や栄養指導を生業とする栄養士が、「友人だから無料でダイエットについて教えてくれないか」という依頼を、善意から請け負ったとします。
「頼めば無料で教えてくれる」という商売においての例外が出来てしまい、出来るだけ安くすませたい第三者がそれらを逆手にとり、無理難題を言い出すチャンスを与えてしまうのです。
自分だけの被害に留まらず、こうした第三者は業界ごと潰す要因にもなり得ます。
もし専門の技術を身に着けるのであれば、その価値をしっかり理解し、安易な善意で仕事を請け負うことがないように注意すべきです。

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